ラーメンズ 『アリス』

本多劇場で、「笑い職人」ラーメンズの第15回公演『アリス』。
(コントの内容には触れません)
前回の『STUDY』では内向的なコントが多かったのに対し、今回はかなり開放的な印象。笑いのスタイルや内容もそうだし、その演じ方も含めて、少なからず”大向こう”を意識して作っているように思えた。
これはバランスを考えてのことかもしれない。妙にアカデミックな方向に行ってしまうことを危惧して、軌道修正しようとしたのではないか。
その点、コアなファンには内容的にちょっと食い足りなさが残ったかもしれないが、ぼくはむしろこれで良いのではないかと思う。下北沢という場所がらもあってなのか、演じる二人もややリラックスモードだったように見えた。

しかし小林賢太郎は、日本や日本語に対して、とことん客観的な姿勢を崩さない人だ。
政治的な意味合いや批評精神といった不純物は薄く、純粋に可笑しさだけを追求する対象として「日本」がある。それが嬉しくて、ついニコニコしてしまう。

ちょっとだけ気になった点は、客が「笑いすぎる」こと。
コントが始まってすぐ、まだシチュエーションも分からないうちに、二人が妙な動きや変な表情をするだけで、爆笑があちこちで起こる。これはあまり良くない傾向だ。
ある程度人気を得た芸人は、みんなこういう状態を経験する。ラーメンズも、もはやチケットが相当取りにくくなるほどの人気だし、熱狂的な固定ファンが出来るのは当たり前なのだけど、ある種の「内輪感覚」のような笑いほど、芸人にとって怖いものはない。

大切なファンは、コメディアンの一挙手一投足を捕まえて、隙あらば笑ってやろうと前のめりに構えている。
一方、コメディアンが面白さを追求したいなら、内輪の笑いからはなるべく遠く離れなければならない。
このギャップをどう埋めていくかが、とても難しい。
そうした意味で、ラーメンズにとって今年あたりがターニング・ポイントになるのかもしれない・・・なんてことをつらつら考えた。

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<『アリス』関連で驚いたこと>
その1:
あるコントの設定が、ぼんやりとぼくの頭に浮かんでいた発想(なんて大層なものじゃないなあ。いってみれば妄想)に、ある意味で似ていたこと。
もちろんアイデアの発展のさせ方は、素人のぼくなど足もとにも及ばないほど上手いんだけれど。
その2:
帰宅途中、入ったトイレにこんなものが捨ててあったこと。
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ちょっとボケていて見にくいですが。
うーん、この符合は一体なんなのだろう。

4.2

鑑賞メモ

本多劇場

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