ベルヴィル・ランデブー

ベルヴィル・ランデブー
セミナーを受けた帰り道、ちょっと時間が空いたことだし、ちょうど劇場も近いしということで観たアニメーション作品。
「クセが強い」「受け付けない人も多いかも」なんて噂を聞いていたので、若干不安だったのだけど…いや??、これは面白い!
冒頭、思わず口ずさみたくなるテーマ曲『ベルヴィル・ランデブー』とともに始まるミュージカル・シーンの楽しさ。レビュー形式の舞台上で、有名な芸人達(をモデルにしている)が次々現れてはヒドイ目に遭う、ここからもう、テックス・エイヴリーとフライシャーを混ぜたような、無邪気なブラック・ユーモアが花盛り。

ツール・ド・フランスに参加した孫のシャンピオンが、謎の一味によってレース中に連れ去られたと知ったおばあちゃんは、愛犬を連れて海を越え(足漕ぎのボートで!)大都会”ベルヴィル”にやって来る。かつて有名な歌手だった三つ子の老婆達の助けを得て、孫を取り戻そうと奮闘するおばあちゃんの大冒険物語。

ニューヨークとヨーロッパが混じり合ったようなベルヴィルの街並みが面白い。一方で登場人物達は、三つ子やシャンピオンを始めとして、グロテスクなまでに誇張される。人間が動物のように、動物が人間のように、ひねくれた愛情をもって描かれた姿には、奇妙な魅力が一杯だ。
(”犬のトラウマ”なんてものを、ここまで執拗に採り上げた映画なんて他にあっただろうか?)
ちなみにぼくのお気に入りは、3老婆のうち2人がさり気なく身につけている”襟巻き”の表現。あんなの動物愛護協会員が観たらきっと怒りだすに違いないぞ)

そして…シャンピオンがラストでたった一言口にするセリフに込められた豊かな感情。それに続いてスクリーンに映し出される文字。それまでのドタバタ劇では、意図的に感傷的な表現を避けてきているだけに、監督の思いのたけが込められかのようなこの短い場面の演出には泣けます。
この作品、2003年のアカデミー賞で「長編アニメ賞」と並んで「歌曲賞」にもノミネートされていたそうな。これは全然知らなかった。アカデミー委員もなかなかやるじゃないか!
(ちなみに同年の長編アニメ賞作品は『千と千尋の神隠し』、歌曲賞は『8マイル』)

3.6

鑑賞メモ

テアトルタイムズスクエア

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