大林宣彦監督が作る映画の中には、常に監督自身が存在している。本当にあの風貌が画面中に登場することは無いのだけれど、スクリーンの内側そこかしこに監督自身が偏在しているかのように、じんわりとした存在感を放っている。
その監督が25年前に撮った『転校生』は公開時に観ている。あれはたしか、銀座文化劇場だったかと記憶しているが、もはや当時の記憶なんて怪しいもので…和泉聖治監督が撮った『オン・ザ・ロード』との二本立てだったことは間違いないのだけれど。
その『転校生』が25年の時を経て、舞台を尾道から長野に移しリメイクされた。今、なぜこの話をリメイクするのか?その疑問に応えるために用意されたのは、「リメイク」という言葉がふさわしくなくなるほどに、大きく改変された物語だった。
大まかなあらすじは同じだけれど、特に後半の展開が前作とは異なっている。そのことによって映画全体の印象は大きく変化し、『転校生』という主題を一にしながらも、調子を異にする変奏曲といった面もちだ。
前作を知っている人にとっては、この改変された展開の是非が話題になるのだろうが、個人的にはとても功を奏していると思う。
この改変によって『転校生』は、かつての甘酸っぱい青春映画から、大人のファンタジーと呼ぶべき深い味わいを湛えることとなった。前作は、過ぎ去ってしまった日々を懐かしく思い起こさせてくれる映画だったが、今作は、過去と同時に、まだ見ぬ未来へも思いを馳せることのできる映画へと姿を変えているからだ。
今回の『転校生』では、斉藤一夫と斉藤一美、二人の体が交換されるさまはもちろんのこと、それ以上に、二人が個別に持っていた色合いが混じりやがて溶け合っていく様子がはっきりと描かれている。物語が好きな一美と、ピアノを弾く一夫。二人の体と内面が一つになることによって「歌」が生まれ、一夫の癖となっているピアノの指遣いは、一夫から一美へと受け継がれていく。
前作では、体の交換による子供達の異変にとまどうばかりだった互いの家族もまた、交換後の二人をそれぞれの家族として受け止めていく。一美の祖父を演じる犬塚弘が終盤でつぶやく言葉は、一美の肉体を持った一夫の生き生きとした振る舞いを、一美のそれとして受け容れるかのようだ。
25年前、青空の爽やかさに彩られていたひと夏のファンタジーは、2007年に、冬枯れの季節を背景に持つ作品へと姿を変えた。
人と人とが出会い、いずれ別れてもなお、そこに醸成された物語は続いていく。ラストに映し出される一本の木のように、変わらずそこに在るということ、そしてその存在がいつまでも続いていくことの美しさと確かさとを、新しい『転校生』は盲目的に謳い上げている。
☆☆☆★★★
転校生 さよならあなた

コメント
【2007-93】転校生 -さよなら あなた-
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今日新宿ガーデンシネマに16:05の回を観にいきました。上映後トイレに行くとなんと大林監督に遭遇!関係者と思われる方と2人で来られていました。その後ロビーに行くと観客からのサインに応じていました。私も少しためらいましたがパンフレットにサインをしていただきました。監督はただにっこりと微笑んで求められるサインに応じていらっしゃいます。観客数もさほど多くなかったため最後は一緒にエレベーターで降りて外に出ました。監督は新宿の人ごみの中を進んで行きますが、すれ違う人は誰も監督に気づきません。もう少し後をついていきたいような、話しかけたいようなそういう気持ちもありましたが、私は監督が人ごみのなかに溶けていくのを見送りました。ちょっとしたサプライズでしたが、ご報告させていただきました。
コメント下さってたんですね…ありがとうございます。
どんな亀レスだよって感じですけど(汗)
最近ずっとまたまた忙しく、自分のブログすら見ていない状況で…失礼しました。
大林監督にお会いになったとのこと、とても羨ましいです。
監督ももうそろそろ確か70代?ですね。その年齢でこういう映画が撮れるというのもある意味凄いことだな、と思ったりします。
超・超お久しぶりなんですが、覚えてらっしゃいますかねぇ。某MLでご一緒させていただいていたものですよーこんにちわ。
先日、10年前までのサイトのアーカイブを見れるサイトを教えてもらって、今はなき自分のサイトをみてたんですが(笑)、そこのリンクのとこに管理人さんのページを発見。
いやー、感動しました。とはいえ、更新はされてないようでちょっと残念ですが。
しかし、先日、オリジナルの『転校生』をみたばかり。
お忙しいでしょうけど、再会をひそかに願ってます。それでは。
超・超お久しぶりなんですが、覚えてらっしゃいますかねぇ。某MLでご一緒させていただいていたものですよーこんにちわ。
先日、10年前までのサイトのアーカイブを見れるサイトを教えてもらって、今はなき自分のサイトをみてたんですが(笑)、そこのリンクのとこに管理人さんのページを発見。
いやー、感動しました。とはいえ、更新はされてないようでちょっと残念ですが。
しかし、先日、オリジナルの『転校生』をみたばかり。
お忙しいでしょうけど、再会をひそかに願ってます。それでは。
ayuayuさん、超超超お久しぶりです。もちろん覚えてますよ~。お元気ですか?
なかなか時間が作れなくて全然更新できてないんですけど、映画観たりライブ行ったり、元気にしてます。
というか、年を経てもやってることがまるで変わってない自分にガクゼンとします(笑)
実は、ブログずっと読ませてもらってます。出不精で日本から離れたくないぼくでも、海外生活がしたくなる不思議な面白さ(^^;
さすがですね~。
これからも頑張ってください。ではでは。