梅 佳代展『じいちゃんさま』

『じいちゃんさま』
原宿のリトルモア地下にて。
梅佳代さんの写真は面白い。何より人間という生き物の面白さと、ちょっとだけの切なさがダイレクトに伝わってくるからだ。
彼女がいつも肩からぶら下げているカメラからは、人間がいろいろなものから心身を守るために毎日かぶっているバリアーを、トロトロに溶かしてしまう光線が出ているに違いない。

この写真展も、親戚の家に上がり込んだ時に姪っ子が「面白い写真撮れたんだけど…」と笑いながらアルバムを持ってきて見せてくれる、そんななごやかな雰囲気で一杯。
おじいちゃんを中心とした梅一家の生写真(?)を観ていて特に「んんっ」と思ったのは、おじいちゃんがシェーバーでヒゲを剃っている様子を連続で写したもの。身近に男性のお年寄りがいない環境で育ったので、「お年寄りもヒゲを剃る」というなんでもない事が、肌で分かっていなかったのだ。
そうそう、このぐらいまで自分も生きるなら、きっとこんなふうにヒゲを剃ってるんだろうなあ…なんてボーっと考えてしまった。年は取ってもひげ剃りの時間は必要ってことに気付かせてくれて、感謝。

他人に言われるまでも無いと思うんだけど、彼女にはずっと写真を撮り続けて欲しい。
少なくとも、あと100年ぐらいは。
その時、おじいちゃんは200歳ぐらい?いけるいける。

3.9

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