先日のブラックチームに続き『シャープさんフラットさん』ホワイトチーム観劇。
台詞や演出が少々異なるものの、作劇としてはほんのちょっとだけ悲劇と喜劇のバランスを変えてあるだけなのだが、演じる役者の個性と表現からなのか、実際の差以上にブラックとは違った印象を受けるから不思議だ。
もう一つ、ブラックよりも観ている時間が短く感じられた。これは、一度観ているための慣れに加えて、舌回り(などという言葉は無い)の良い役者が揃っているが故か。清水宏も、河原雅彦も、そしてお馴染みの松永玲子(長台詞をまくしたてるシーンはさすが)もひどく早口なのに、それでも終演時間がブラックとほぼ同じというのが面白い。
いったいどこで帳尻が合っているんだろう?新谷真弓の微妙な間を保った台詞回しのためだろうか。しかし彼女、つぶやくぐらいの声でも、かなり後ろの方で観ているこちらにしっかりと届いているのはさすが。
2本観ての感想は…主演は大倉孝二主演の方が好きだ。あの陰にこもる感じでないと、俗世間からも劇団の仲間からも遠くのレベルへと走り出してしまった喜劇作家が醸し出す屈折した味わいが生まれてこないように思う。
キビキビとした動きとふいに発する巨声(こんな言葉は無い)が魅力である三宅弘城のパーソナリティを生かしてか、時にスラップスティックな雰囲気を濃くするホワイトもそれはそれで良いのだけど…大倉版の方がぼくの好みだということだろう。
それからさらに、キーパーソン(ズ)となっている2組を挙げれば、時代から取り残されてしまったコメディアン園田研々とその妻・春奈はブラックの住田隆と犬山イヌ子に、研々の昔のパートナーにしてトガった笑いを解し、主人公の唯一の理解者となる赤坂はホワイトの松永玲子に、それぞれ軍配を挙げたい。
2本の組み合わせで、自分なりのベストキャストを挙げたり、好きな演出を繋げて、一つの作品に仕立ててみるという楽しみかたも出来そうだ(単なる空想だが…)。
鑑賞メモ
本多劇場
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