あれから

あれから
すっかり年も明けてしまった今日この頃。
あいかわらずのマイペース精神に則り、本を読んだり、DVDや芝居を観たりしながら日々を過ごしている今日この頃。
新年も10日あまり経っての不満と言えば、まだ映画を1本も観ていないことぐらいか。
去年はここ10数年で初めて映画鑑賞本数が50本を割り込み、本数低迷に拍車がかかることとなった。今年も大幅な本数高は見込めそうにない不況の最中ではあるが、ある程度はそんなことを気にしつつも、マイペースで精進していきたい。

新年初のエントリは、昨年末に観た久々のKERA・MAP作品『あれから』。倦怠という危機が忍び寄る二組の夫婦の物語。
奇しくも三谷幸喜が同時期に、夫婦を扱った芝居を手がけたという符合にも興味がひかれるところ。喜劇作家の関心事は、夫婦という最小構成の他人に戻っていくということなのか。
中心となる夫婦の物語も良いのだけど、そこにちょっといびつで鮮烈な色を付けている、渡辺いっけいの弟(演じるのは赤堀雅秋)のエピソードが好きだ。「バーカ!」を連発する粗野でいい加減に振る舞う男に訪れる、意外にも人間的な展開に思わずホロッと来てしまう。
ケラが演出時に、この弟の役作りを「デヴィッド・リンチ風の寅さんで」と指定したと聞いて、なるほどと思った。ウェットな義理人情の要素を抜き去ってみれば、寅さんは「はた迷惑な隣人」である。であるならば、ケラ風喜劇世界の住人にふさわしい造形に解体し組み立て直してみると、こんなキャラクターになるのも至極当然のように思えてならないのだ。

それにしても、いつもちょっと口唇を開け気味の無表情で、絶妙な間を置きながら台詞を繰り出す柄本佑を観ていると、どんどんジョン・へダーに見えてきて仕方がない。頑張れ、日本のナポレオン・ダイナマイト!である。

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