潜音


朝吹真理子の小説は、日本語を丁寧に読みしだくという享楽のたしなみ方を再確認させてくれる。最近読んだ『流跡』は、幻想的でどことなく懐かしさを覚える物語なのだけれど(筒井康隆を思い起こさせる)、とてもたおやかな文章だと思う。作家が女性だからというわけではなく、文が女性らしい。中で強く印象に残るのは”潜音”(ひそみね)という言葉。和文の髄。
話は変わって「オバジ」という化粧品ブランドがあるのだが、この名前でもって良しとした言語感覚はどうなんだろうかな。出自が人名らしいので仕方がないよなーと思いつつ、もはや何回この字面を見てもオバサンとオヤジの合成にしか見えなくなってるのだけど…これもまた、日本語ならではの話。

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