モテキ

モテキ
TVドラマを映画化する企画が多いこのご時世、ドラマをほとんど観ない自分としてはふつうそれほど興味を引かれる作品は無いんだが、なぜかこの『モテキ』は気になってしまった。豪華キャスト(もちろん女優陣)に引かれてのこともあるが、学生の頃から平凡な文系趣味人を貫き通している(という気になっている)身にとっては、音楽や映画、マンガに身をズッポリ投じた非モテのモラトリアム男が主人公と聞けば、観てみようかという気にもなるというもの。
結論からいうと、この映画はいわゆるサブカルチャーへの偏愛を謳ったものではなかった。それどころか、主人公が愛する趣味の世界そのものが映画のトーンにも影響を与えるような、二重構造の物語がつきまとってしまいがちな「文化への思い入れ」という感情を、ひたすらに拒否しているかのように見えるのだ。
神聖かまってちゃんとB’zとナゴムが”等列で”登場する物語。あらゆる(サブ)カルチャーに対して等距離な位置を徹頭徹尾保ち続けようとするその姿勢、その、いわば前後一定の車間距離をキッチリと守り通すかのような行儀の良さが、文化を乗りこなす現代日本のリアルな「カルチャー・ドライバー」像なのだと思う。
広く浅く数多くのジャンル(特に音楽)が登場するため、20代よりも30代、30代よりも40代と、より多くの歴史を通って来た世代のほうが楽しめる映画なのかもしれない。また、ライターが主人公の音楽に彩られた映画ということでは『あの頃ペニー・レインと』を思い出すけれど、そういえばあちらも青春恋愛映画なのだった。
サブカルチャーの担い手であるアーティストも恋愛も、どちらも短い期間に花を咲かせては消えていく、去りゆくものの「切なさ」を体現するものだ。映画はオリジナルの『モテキ』とはちょっと違ったテイストになったという話だが、音楽と恋愛、2つの切ない素材が物語の中心に据えられた時、過剰なポップさを捨てて、納まりの良い青春物語に繋がっていったのは必然なのかな…と思ったりする。
☆☆☆★

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