ランゴ

ランゴ
『パイレーツ・オブ・カリビアン』で一躍名を上げたゴア・ヴァービンスキーが手がけたアニメーション、タイトルロールのランゴの声はジョニー・デップ、となるとどうしても大作・万人向け・直球勝負の味付けを想像するのだが、この『ランゴ』は変化球満載で大人向けに作られた味のある作品だった。西部劇を下地にしている時点である年代以降の層への目配せがあるのは当然として、それ以上に、アイデアが詰まった台詞の秀逸さに唸ってしまった。シニカルでちょっとブラックな台詞が次々に繰り出されるのに小躍りし、ヴァービンスキーにこんな映画が作れるとは思っていなかった自分としては、良い方に期待を裏切られて嬉しくなってしまう(一方では、その『パイレーツ〜』を彷彿とさせるシーンを入れたりする泥臭さを残しているのもご愛嬌か)。
ウエスタンやメキシカンの風味を取り入れた音楽がまた良い。ソンブレロをかぶったフクロウのカルテットが狂言回し風に歌う楽曲が楽しいし、雄大な西部の風景をバックにしたスコアも妙味があり、ハンス・ジマーらしい大仰な味がここでは功を奏していると思う。ランゴ達が荒野を駆けるシーンに『荒野の七人』のテーマ曲がワンフレーズ流れたりするのも心憎い(長々引用するのではなく、ワンフレーズだけというのが良い)。
ランゴがカメレオンであることにも意味があるのですね。狭いガラス箱の中で一人芝居を続けていたランゴが、外界で他人と接触することによって、他人に必要とされることに喜びを感じるとともに、自分のアイデンティティに思い悩む。こんなランゴのキャラクターを体現するには、景色に合わせて体の色がクルクル変わる一方で、表情に乏しいカメレオンという設定はピッタリだろう。
一方、ストーリー上でそのカメレオンという設定が上手く活かせていなかったり、何よりもプロットが型通りすぎる(これはパロディであることを考えれば仕方ないかもしれないが)、ランゴの内面と行動が物語とシンクロせずに芯がフラフラしているような部分があったりするなど、難点はいくらもあるのだが、前述の台詞や音楽、そしてツボを押さえたアクションシーンの数々など、これまで築き上げてきた映画史の魅力を決して無駄にしないアメリカ映画の底力を見たような思いがした。
☆☆☆★★★

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