エイリアン vs. プレデター

20世紀フォックスのお抱え(?)モンスターであるエイリアンとプレデター、この両怪物が死闘を演じるという、企画色の濃い一作。
複数の人気キャラクターがそれぞれのシリーズの垣根を飛び越えて”コラボレート”することは、それほど目新しいものでは無い。これまでにも、同じような作品は洋邦問わず数多く製作されてきた。
かつてユニバーサルが得意としたドラキュラやフランケンシュタイン、狼男といったモンスター達の共演作は何本も製作されているし、最近でも『フレディ vs. ジェイソン』が記憶に新しい。
エイリアン vs. プレデター』の製作者達も、自分たちが作っているのが企画物であることを十二分に意識している。これは冒頭のシーンで、衛星画像の観測者達が観ているTVに『フランケンシュタインと狼男』が映されていることからも明らかだ。

俳優も、『エイリアン』シリーズから登場のランス・ヘンリクセン以外は、常に主演/準主演を演じるようなスターはキャスティングされていない。
これは「主役は人間ではなくて、2大怪物ですよ」という、製作者側からの目配せだ。もちろん予算の都合もあるのだろうけれど。
物語にしても設定にしても綻びだらけなのだが、そんなところを突っついても仕方がない。両雄がいかに死闘を繰り広げるのかを楽しむべき映画である。そして実際、ひとまず楽しく観られる作品に仕上がってはいると思う。

しかしあえて言うなら、人間を差し置いて主役を張っている両者のバトルシーンはもう一つ冴えない。
“VS.”を冠しておいて、モンスター同士が本格的に肉弾戦を演じるシーンが一回というのは、個人的にはちょっと物足りない気がする。企画物であるなら、もっともっと、ばかばかしくも派手派手しく、モンスターの激闘を盛り上げるよう演出してしまっても良かったのではないか。
日本に目を転じれば、『キングコング対ゴジラ』や、はたまた『マジンガーZ対デビルマン』なんて映画もかつてあった。これらのサービス精神(と破綻ぶり)に比べれば、本作はあまりにおとなしい。
まあ、こういう古い日本映画と比べるのもおかしいし、このご時世、あまりに破天荒な内容にしてしまうと怒り出すファンも多いのだろうが・・・

この映画、前半は『エイリアン』シリーズのパターンを踏襲した作りになっている。これはストーリー展開から言って、プレデターに重心が片寄ってしまうことを避けるよう考慮してのことかもしれない。
そのせいか、探検隊がピラミッドに閉じこめられ、エイリアンの活躍?が始まるまでの前半がやや長く感じられてしまうのも難点だ。
両モンスターの(時に必要以上に)熱心なファンの顔色をうかがいつつ、バランス良く見せ場を作らなければならない難しさが、こうした細部にどうしても現れてしまう・・・のだが、そのわりには物語中、エイリアンに対する扱いがややぞんざいなのはご愛敬と言ったところか。

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鑑賞メモ

新宿スカラ座2

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